叱るorほめる? 彼が遅刻をくり返す心理とやめさせる伝え方のコツ2つ

【相談者:20代女性】
私が付き合っている彼は遅刻魔です。会う約束をしても時間通りに来てくれることはほとんどありません。

一応謝りはするのですが、私が文句を言っても「まあスマホで連絡も取れるし……」みたいに心から反省しているとは思えない言い訳をします。

よく人材開発などの記事で、人は叱るよりほめたほうがいいというような話がありますよね。私もほめられて伸びるタイプなのでそれはわかるのですが、遅刻しないで来たからほめるというのもなんか違う気がしています。

こういうときに、彼が遅刻しなくなるような伝え方ってないのでしょうか。何かご存じでしたら教えてください。

a ほめたり叱ったりするだけでなく、彼の心を動かす伝え方を意識しましょう。

日常の迷宮脱出ガイド、心理分析士の咲坂好宥です。

叱るとかほめるとかいうのは教育心理学でよく議論されてきた話ですが、ビジネスなどの人材育成の場でも頻繁に出てきますね。

でも、たしかに彼が遅刻せず待ち合わせに来たのをほめるというのも、ハードルが低すぎる感じがして違和感があります。

彼がなるべく遅刻しないで来てくれる上手な伝え方……これは逆にハードルが高い感じがしますが(笑)、まずは叱る、ほめるということから考えてみましょう。

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遅刻に関する実験

叱る、ほめるということについて、ボウディン大学心理学准教授のP.E.シャフナーが行った興味深い実験をご紹介します。

この実験は被験者たちに教師の役割を演じてもらい、生徒の登校時間について8時30分の門限を守るように教育するというものでした。

“先生”には毎日生徒の登校時間がパソコン上で知らされ、叱る、ほめる、何もしない、という選択肢のどれかを選びます。

被験者たちには内緒だったのですが、実は生徒は実在せず、単にコンピューターが演じていたのでした。

登校時間もあらかじめ決まっていて、門限の前後10分、つまり8時20分から8時40分のあいだの時間をランダムに表示するだけのものでした。

要するに、“先生”がどう指導しようが結果には関係なかったわけです(苦笑)。

門限の前後10分のランダムな登校ですから、生徒はずっと遅刻し続けることはできませんし、早く来続けることもできません。

でも、“先生”としては生徒が10分遅刻して叱った次の日は10分早く来たり門限ピッタリに来たりするわけです。これを“指導の効果”のおかげだと感じてしまうのも無理はありません。

逆に、ほめた次の日に遅刻されれば、「やっぱり厳しくしつけなきゃ」と感じて叱ります。そして、次の日生徒が門限通りに来れば、これも“指導の効果”と受け止めるかもしれません。

「ムチを打たないとダメになる」というのは思い込み

実験の結果、なんと“先生”役である被験者たちの7割が、「ほめるよりも叱るほうが登校時刻を守らせる効果がある」という結論を出したのです。

実際は8時20分から8時40分のあいだのランダムな登校時間なので、平均値としては8時30分、つまり門限時間に限りなく近づくだけなのに……です。

このように、ぼくらは「やっぱりムチを打たないとダメになる」と思い込みがちです。でもそれは誤解で、現在の教育心理学などではムチを打たないとダメになるという考えは否定されているのが主流と言えます。

この実験の結果にかかわらず、単に彼に文句を言うだけでは遅刻癖が直らないのもなんとなくわかる気がしますよね。

シャフナーの実験では生徒がパソコンだったという衝撃のカラクリ(笑)があったわけですが、それだけ遅刻を繰り返すとなると彼にも何かカラクリがあるのでしょうか。

もちろんこの疑問に対する答えはひとつではありませんが、深層心理という観点からひとつの可能性をご紹介しましょう。

彼に遅刻を繰り返させる深層心理とは

罪の意識を持ちながらもほぼ毎回遅刻をしている場合、もちろん意識してわざとやっているわけではないと思います。

しかし、心理学の中には「深層心理がわざとそうしている」という考え方があります。そうする“目的”がある、ということです。

もし、彼自身のセルフイメージが「オレなんて迷惑人間、罪人、害虫、毒……」というようなものだとしたら、と想像してみてください。

そんな人が毎回毎回、彼女との待ち合わせ時間の5分前にキッチリ集合していたらキャラがブレブレですよね(笑)。

そのようなセルフイメージを持っているからには、それにふさわしい(?)行動をしないと矛盾した人間になってしまうことになります。

そこで、イメージ通り遅刻を繰り返せば、悪者としてあなたにののしられますよね。これで目標達成(苦笑)です。

もちろん、遅刻を繰り返す人の全員が全員この心理メカニズムだということではありません。他にもいろいろと原因はありそうですよね。

いずれにしても、単にほめたり叱ったりするだけで解決するような単純なものとは限らない、ということです。

彼の心を動かすための伝え方のコツ2つ

では、どのように伝えたら彼の心を動かすことができるのでしょうか。今回はそのためのコツを2つご紹介しますね。

(1)メッセージは“私”を主語に

これはコミュニケーションテクニックで“Iメッセージ”と呼ばれるものです。

「なんであなたはいつも遅刻ばっかりするのよ!」というように“あなた”を主語にすると、彼は必要以上に攻撃されていると感じて身構えてしまいます。

「(私は)二人で会える時間を大切にしたいんだよ」「遅刻されると(私は)軽んじられている気がして悲しくなるんだ」というように、“私”を主語にしてなるべくあなたの思いを伝えるようにしましょう。

(2)ポジティブワードを選ぶ

小さい子に「コップの水をこぼさないように運んでね」と言うと、“こぼす”という言葉に脳が反応してしまって逆にこぼしてしまうという話をお聞きになったことはありますか?

この場合は、「コップの水を上手に運んでね」というだけで結果が変わってくるんですね。

同じように、「遅刻しないでね」と言うことでわざわざ“遅刻”というワードを脳に植えつけるよりは、「待ち合わせ通りに来てね」と言ったほうが彼の脳にとっては効果的かもしれません。

ちょっとした違いですが、気をつけてみてくださいね。


“叱る、ほめる”という観点とは違う展開になってきましたが、もうひとつだけお伝えしたいことがあります。それは、悪意でもない限りたぶん彼は積極的に遅刻しようと考えているわけではないってことです。

むしろ、「今度は遅刻しないようにしなきゃな……」と考えているのではないでしょうか。

その気持ちだけは認めてあげませんか。そして、もし約束の時間通りに来られたのなら、きっとあなたのためにがんばったのでしょう。

その努力やプロセスに思いを巡らせてあげてください。それこそが彼にとって最高のごほうびのような気がしますよ。お二人の時間がますますハッピーになりますように!

【参考文献】
・『人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか』トーマス・ギロビッチ(著)

●ライター/咲坂好宥(心理分析士)

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