保険金は打ち切り!? 事故のキズで復職できない時に慰謝料請求はできるか

【相談者:30代女性】
先日、彼氏とデート中に歩いていたら、車が突っ込んできて2人ともひかれました。2人とも足を骨折したので、その分の治療費や休職分の給料などは相手方の保険会社から満額出ました。また、足に加え2人とも顔に大きな切り傷ができてしまい、彼は人と接する仕事じゃないので足が治ったら出社しましたが、私は営業職をしているので顔に傷が入っていては仕事ができません。

しかし、彼が仕事に行けているという理由で保険金(休業損害)を打ち切ると言われてしまいました。このまま跡が残ってしまい復職できなかったら、その慰謝料を請求することはできますか?

※休業損害:交通事故等によって負傷し、傷害によって休業したために得ることができなくなった収入のことを言います。

a 顔の傷に対して、慰謝料や休業損害を請求できる可能性がある。

ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の篠田恵里香です。

保険会社から保険金の支払いが打ち切られる、というトラブルはよくある話です。今回のケースは顔に大きな切り傷ができてしまったということで、しかも営業職とのことですから、休業が必要であった期間について休業損害の請求ができる可能性があります。

また、大きな傷が残ったことで今後のお仕事にも影響があるとして、働けなくなったことを理由に後遺障害に基づく逸失利益も請求できる可能性があります。当然、慰謝料も請求できます。

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『休業損害』は、仕事の内容によっては顔の傷でも認められる

まず、『休業損害』についてですが、事故によって負ったけがにより休業の必要性があったと判断されれば、休んだ期間中の給与相当額を賠償請求できることになります。傷の場所や程度、職業の内容や性質にもよりますが、顔に大きな傷がある場合、営業職としては仕事ができないということも十分ありえますので、仕事ができなかった期間に応じて休業損害を請求すべきであるということになります。

顔に傷が残ってしまった場合も、後遺障害として賠償請求ができる

また、顔に傷が残ってしまった場合の後遺障害の補償についてですが、顔や体に傷が残ってしまうという後遺障害は、身体等の機能に障害が残ったわけではなく“見た目”に障害が残ったということで『外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)』と呼ばれます。

以前は、“見た目は男性より女性のほうが大事”という考え方からか、男性と女性のあいだで傷の等級に差異が設けられていました。同じような傷痕でも、女性のほうが後遺障害の等級が重いとされていたわけです。しかし、この男女の区別は2011年の等級認定表の改正により撤廃されました。

改正後の基準は2010年6月10日以降の事故に適用されますが、傷の程度に応じて、『第7級』『第9級』『第12級』という3つの等級が認定されることになります。そして、従事している職業の内容や性質によって、“傷が残ったことが仕事に影響する”という関係が認められるのであれば、これを理由に本来得られるべきだった給料等の利益(逸失利益)の賠償が認められることになります。

どの範囲まで賠償してもらえるのか

具体的には、“基礎とする年収×労働能力喪失率×年数”という形で計算します。たとえば、“顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目につく程度以上の傷”であれば、後遺障害の等級としては9級となり、労働能力喪失率は35%が基準となります。

外貌醜状の場合は、等級そのままの喪失率が認められないケースも多いのですが、たとえば、“このような傷と職種であれば、少なくとも20%は仕事に影響する”などと主張し、原則として67歳までの就労可能年数の期間分を補償してもらうべきということになります。

過去の事例で、兼業主婦であった女性(現在の9級相当)について、後遺障害逸失利益算定(年収×労働能力喪失率×年数)をもちいて計算し、基礎収入は実際の収入よりも高い平均賃金の金額、労働能力喪失率を20%、67歳までの2年間(当時65歳)を補償したケースがあります。また、9級の後遺症慰謝料としては690万円が裁判所基準ということになりますので、これを目安に請求をしていくことになります。

保険会社が「打ち切り」と言ってきた場合、真に適正な時期での打ち切りなのかどうか専門的な判断が必要となりますので、お困りの場合はぜひ弁護士に相談してくださいね。

●ライター/篠田恵里香(アディーレ法律事務所:東京弁護士会所属)

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