弁護士が教える“リベンジポルノ”の処罰

【相談者:20代女性】
今、リベンジポルノが流行っているようですね。それで思い出してしまったのですが、私、数年前に合意の行為(私が騙されて遊ばれてたんです……相手は妻子持ちで……)で盗撮されたことがあります。ふつふつと怒りが湧いてきて、その人に久しぶりにメールをしたところ、私は当時2回だけ「盗撮された?」と思っていたのですが、本当は何回も盗撮していたみたいなのです!

当時の私の年齢がいわゆる児童の範囲でして、つくづく私は子どもでバカだったなと思います。先日相手をとがめたら、「ごめん」「穏やかに過ごしたい」と言われました。私はその人との出来事がショックでそれから男性が大嫌いです。

自分の判断ミスとはいえ、自分のバカさ加減と相手の行為も許せません! トラウマです! これって泣き寝入りしかないのでしょうか?


ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所の篠田恵里香です。

悔しい思いをされているようですね。今回のケースで、相談者の方はまず、「知らない間にも盗撮行為をされていたこと」について訴えたいと思っているようですが、残念ながらこれを処罰したり、損害賠償請求をするのは難しいと思われます。

盗撮行為が犯罪に問われる可能性としては、『軽犯罪法違反』『地方自治体の迷惑防止条例違反』等が考えられます。

軽犯罪法違反については、「通常人が衣服をつけないでいるような場所を密かに盗撮する場合」には犯罪となりますが、お互い合意のうえでの行為ということになると難しいと言えそうです。

また、迷惑防止条例違反についても、基本的には「こっそり盗み撮りをする」ケースを想定しているので、盗撮と評価されない限り立件は難しいように思います。

18歳未満を対象として卑猥目的に盗撮する行為については、『ポルノ製造罪』にあたる可能性がありますが、通常は他人に売るなどして提供する目的が必要なので、この場合も犯罪の成立は低いと思われます。

もっとも、あなたが満18歳未満の「児童」である際に行為をしたということは、青少年保護育成条例違反となりますので、この場合は相手方に犯罪が成立しえます。

ただ、未成年と行為をした場合の青少年保護育成条例違反の罪の時効は3年となっており、この期間を過ぎてしまっていると刑事処罰も難しいということになります。

そして、「盗撮された行為に対して慰謝料請求をしたい」という点についても、もともと「盗撮自体に対する同意があった」と評価され、プライバシー侵害等とは判断されない可能性が高いと思われます。

そのため、お気持ちは大変わかるところですが、昔の嫌な思い出を蒸し返すよりも、まずはきれいさっぱり気持ちを切り替えるということのほうが相談者さんのためになるのかなと思います。

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一方、これがリベンジポルノに発展した場合には話が違ってきます。リベンジポルノは、最近起こったストーカー殺人事件においても話題になりましたが、この行為は決して許すことのできない犯罪行為です。

18歳未満の裸体などのわいせつな写真・動画を頒布する行為やインターネット上にばらまくといった行為は、児童買春・児童ポルノ禁止法違反となり、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金または併科が科せられます(同法7条4号)。

児童ではなく大人の場合は、わいせつ物頒布罪として、2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料、または懲役と罰金の併科が科せられることになっています(刑法175条1項)。

また、裸体を掲載された人物の名誉を棄損するとして、『名誉棄損罪』が成立する可能性もあります。「写真をばらまくぞ」などと脅された場合には『脅迫罪』が成立します。

リベンジポルノの恐れがある場合には、即時データごと返還してもらって処分する等の対処が必要ですし、場合によっては弁護士を通じて差止めを求める必要もあるかもしれません。

仮にリベンジポルノをされた場合には、早急に差止め・削除の手続を踏むとともに、刑事告訴や損害賠償の手続を踏んだ方がよいでしょう。その際は、やはり専門家である弁護士に相談していただいた方がいいかと思います。

そんな悪い男のことをきれいさっぱり忘れるくらい、今後ステキな方とめぐり逢えること祈っております。

●ライター/篠田恵里香(アディーレ法律事務所:東京弁護士会所属)

編集部追記

今回のコラムでは、リベンジポルノの処罰がどういうものなのか、法律上の問題を弁護士の視点からアドバイスいただきました。

「リベンジポルノ」について、一般的にはどう言われているのか、編集部でまとめてみました。

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「リベンジポルノ」は具体的にどういうもの?

リベンジポルノとは、別れた恋人や離婚したパートナーが相手への仕返し・嫌がらせとして、交際中に撮影していた相手の裸の写真や動画など、見られたくない性的な画像を無断でネット上に公開する行為のことです。

ネット上に写真や動画が流出してしまったり、SNSなどで拡散されてしまったりすると、なかなか消すことは難しく、半永久的にネット上に残ってしまうことになります。

そのため、写真や画像を流されてしまった相手にとっては大きな精神的ダメージがあり、インターネットが普及した現代社会では大きな問題となっているのです。

なお、この問題を解決すべく、日本では2015年11月27日に『リベンジポルノ防止法』が制定されています。

世界各国の「リベンジポルノ」に対する法律

リベンジポルノが問題になっているのは、何も日本だけではありません。世界各国で問題になっており、それぞれの国でリベンジポルノを罰する法律が定められています。

アメリカ合衆国の場合

広いアメリカでは、州によって法律が定められています。カリフォルニア州では、『リベンジ・ポルノ非合法化法』が2013年10月1日に施行されており、たとえ同意の上で撮影された画像であっても、映っている人の許可なしでネットに投稿されたら違法となります。

法律に基づいて有罪となった場合、最高で6か月の禁固刑または最高1,000ドルの罰金刑です。ただし、撮影者と流出させた人物が同じでない場合にはこの法律が適用されません。

また、ニュージャージー州では、リベンジポルノがゴシップとして広がって行くことを防止するために、2004年から、撮影された人に無許可で裸などの性的画像を流すことを禁じています。

韓国の場合

韓国では、『性暴力犯罪の処罰等に関する特例法(性暴力特別法)』が2013年に改正され、違反した者に対しては3年以下の懲役、または500万ウォン以下の罰金刑が課せられます。

これにより、交際時に同意を得て撮影された画像であっても、その後、撮影された人の同意を得ないまま画像を流した場合には、処罰の対象とされるようになりました。

EUの場合

個人情報保護の意識が強いEUでは、『忘れられる権利』のもと、インターネット上の個人情報削除が義務となっています。

イギリスでは2015年、女性同士のあいだでは初となるリベンジポルノで有罪判決が出されました。内容としては、加害者が元彼女との破局のはらいせに、元彼女のわいせつな画像をSNSに投稿したというもの。

この行為は報復が目的のリベンジポルノとして有罪になりました。異性間だけでなく同性間でも個人情報がきちんと守られるということが証明されたと言えますね。

法律以外でリベンジポルノへの対策はされている?

いくら法律で守られているからといっても、なかなか安心はできませんよね。そこで、法律以外ではどんな対策がされているのか調べてみました。

Googleの場合

検索エンジンの最大手である『Google』では、自社の検索エンジンの表示からリベンジポルノ画像を削除する旨を発表しています。被害者から申し立てがあった場合、それに従って検索結果に表示させないという対応をとるようです。

また、法律でリベンジポルノについて明文化されておらず、規制がない地域の被害者から申し立てがあった場合でも、削除をする方針とのことです。

SNSの場合

FacebookやTwitterといったSNSサイトでは、利用規約としてリベンジポルノの掲載を禁止しています。もしその規約を破ってリベンジポルノが投稿された場合には、被害者からの申し立てに従い、削除するという対応を行うようです。

リベンジポルノをテーマにした作品で、より理解を深めましょう

リベンジポルノについてもっと詳しく知りたいという方は、リベンジポルノをテーマにした作品にふれてみるのもいいかもしれません。

映画では、2014年公開の『リベンジポルノ』(羽生研司監督/高橋祐太脚本)、CDでは柴草玲さんの楽曲『ヒガンバナ』(2004年発売のアルバム『会話』に所収)があります。

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実際に起きたリベンジポルノの事例

実際にはどんなリベンジポルノが起きているのか、いくつかの事例をご紹介します。「ああ、あの事件か!」と記憶に残っている方もいるかもしれませんね。

三鷹ストーカー殺人事件

2013年10月に、東京都三鷹市で当時18歳だった女子高生が殺害された事件です。被害者の女性とSNSで知り合い、遠距離恋愛していたハーフの男性が、女性からの別れ話を不服とし、ストーカー化。

事件当日、被害者女性の家のクローゼットで女性の帰宅を待ち伏せし、帰宅したところをナイフで殺害したというものです。

この事件をきっかけにして、リベンジポルノの関連法案が成立しました。

芸能人の不倫告白もリベンジポルノのひとつ!?

2015年9月、歌手の一青窈さんが音楽プロデューサーの小林武史さんとの7年間に渡る不倫関係を週刊誌で告白。世間に衝撃が走りました。

不倫を告白しただけで、いわゆるリベンジポルノとは異なりますが、「リベンジポルノと変わらない」という声が多かったことも事実です。

週刊誌に掲載された女子アナのリベンジポルノ

写真週刊誌『フライデー』が2015年9月18日号で、女子アナのリベンジポルノと思われる写真を掲載しました。実名は出ていないものの、本人が特定されかねない詳細な経歴などが書かれており、リベンジポルノに該当する可能性が高いとされました。

その後、Web版のサイトからは該当のページが削除されたようですが、販売されてしまった雑誌は消すことができません。

いざというときのリベンジポルノへの対処法

リベンジポルノの加害者にならないことはもちろん、被害者にならないようにすることも大切です。そのために何ができるのか、また何をしなければならないのかをご紹介します。

リベンジポルノの被害がなくならない理由

交際相手に振られた腹いせや嫌がらせとして、ネット上に恥ずかしい写真をばらまくリベンジポルノ。その被害数が近年急増しているそうです。被害者に10代の若者が多いことも特徴です。では、なぜリベンジポルノがなくならないのでしょうか?

その背景には、スマホの普及も一因としてあるようです。今やスマホによって写真や動画の撮影も誰もが簡単にできるようになったこと、撮影した画像をそのまま気軽にネットへ投稿できることは原因として大きいのではないでしょうか。

また、被害者に10代が多いという点から、無知さと交際相手に頼まれたら断れないという心理も大きく関係しているようです。「撮影を断ったら嫌われてしまうのではないか」「浮気されてしまうのではないか」そうした不安から恥ずかしい画像の撮影にも合意してしまうのでしょう。

さらに、被害がなくならない原因として、法整備が追いついていないという点も挙げられます。

日本の法律では写真や動画をネットへアップロードすることを規制できないことや、法律の処罰が軽いこと、警察のリベンジポルノに対する知識や理解も低いことなど、考えなければならないことは多いですね。

交際中のラブラブ写真や動画撮影をしているカップルは7割にも及ぶ!?

ある調査によると、恋人とのエッチな写真や動画を撮影したことがある人は、調査を行った人数に対して7割にものぼったそうです。中でも、被写体になるのは女性のほうが多いという結果でした。

裸の画像だけでなく、性的な行為そのものを撮影しているカップルも多く、驚きを隠せません。

こうしたリベンジポルノにつながるリスクのある行為を平気で行っている以上、被害も減りませんよね。

多くの女子中高生がしている「セクスティング」

セクスティングとは、性的な写真や動画、メッセージを携帯電話へ送ることをいいます。

米国で2008年に行われた調査(『ティーンの無計画な妊娠防止運動』と雑誌『CosmoGirl』が共同で実施)によると、「自分のヌードやセミヌードの映像を送信したことがある」という13〜19歳の男性は18%、女性は22%だったそうです。さらに、20~26歳の男性では31%、女性では36%にもなったとのこと。

スマホが普及したことにより、中高生のあいだでどんどんこうした行為が広がって行ってしまっているようです。

見られたら困るような画像は撮らない、撮らせないことが基本!

安易に自分のヌード写真を撮ったり、撮らせたりする行為は、リベンジポルノが広がるきっかけとして十分です。ラブラブなときにはお互いに見て楽しむということもあるかもしれませんが、別れた後には大きな問題となります。

もしも相手がその画像を流出させてしまったら……考えるだけで怖いですよね。

家族や友達など、さまざまな人に自分の恥ずかしい姿が晒されてしまう。そうなってしまってからでは遅いのです。リベンジポルノの被害を生まないためにも、見られたら困るような画像は撮らない、撮らせないということを徹底しましょう。

被害を生まないために親ができることもあります

リベンジポルノの加害者は元交際相手に限りません。SNSなどで出会った見知らぬ人とのやり取りで自分のヌード写真を送ってしまうことも少なくないのです。

スマホからいつでも簡単にネットにつなぐことができ、見ず知らずの相手とも容易につながれてしまう時代。スマホでのネットアクセスサイトを制限したり、自分の恥ずかしい画像を人に送ったり撮られたりすることがどれだけ危険かを説明したり、親にできることもあります。

ネットに掲載された画像はそう簡単に消すことができないこと、もし画像がネットに流出してしまったらどういうことになるか、きちんと家族で話し合うことも必要でしょう。

また、万が一、自分の子どもがリベンジポルノの被害者になってしまったら、いち早く警察へ相談しましょう。時間が経てば経つほど、被害は大きく深刻になってしまいます。


「リベンジポルノの事例紹介」や「リベンジポルノの対処法」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

スマホが普及し便利になったことで、リベンジポルノの被害も急速に増えています。正しい知識と対処法を身につけ、くれぐれも被害にあわないように注意してくださいね。

(恋愛jp編集部/渡邉)

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