働く能力があっても受給可能な“生活保護”の知識

【相談者:30代女性】
私の勤める会社であったことなのですが、同じ部署にアルバイトの事務の女性が入ってきました。年齢も近く、すぐに打ち解け仲良くなったのですが、なんと生活保護受給者ということを教えてくれました。そもそも、アルバイトでも働ける能力があるなら生活保護なんて受けるはずないのに、意味がわかりません。付きあっている彼もいて、近々結婚の話もでているようで……。

生活保護について教えてください。彼女のようにアルバイトしながら生活保護って受けれるのでしょうか?


今回の相談者さんは、生活保護を受けている同僚が、何かいけないことをしているのではないかと心配になってしまったのでしょうか。少し誤解しているところもあるようですので、生活保護という制度について、少し解説をしてみましょう。

「生活保護制度」とは

厚生労働省HPによれば、『生活保護制度』は、「生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長すること」を目的とする制度です。

生活保護受給者に対しては、「その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提」とされています。

つまり、自分自身で精一杯頑張ったとしても最低限度の生活を維持できないと認められる人に対して、最低限度の生活を維持するのに不足する金員(保護費)を支給する制度が、生活保護制度ということです。

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このように、生活保護を受給するためには持てる能力をフルに活用することが求められますから、働くことのできる人は働かなければならないのであり、相談者さんの言うように、「働ける能力があるなら生活保護なんて受けるはずない」というのは誤解なのです。

実際にも、働きながら生活保護を受けている人はいます。ただ、働いていてもその収入が、厚生労働省が定める最低限度の生活を送るのに必要な「最低生活費」に届かない場合に、その不足額が、「保護費」として支給されることになるのです。

もちろん、働いていることを隠して生活保護を本来受けられる金額よりも多く受け取っていると、『生活保護の不正受給』ということになり、生活保護法85条により、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されたり、刑法の詐欺罪の規定により、10年以下の懲役に処せられたりする可能性があります。

近々結婚を控えているとのことですが、もし結婚をした場合、夫婦間には扶養義務があるため(民法752条)、妻は夫の扶養にはいることになり、夫に生活していくだけの経済力が十分あるならば、受給条件を満たさなくなるでしょう。

生活保護の申請に消極的な自治体もある、と耳にすることがありますが、もし窓口の職員が、「働く能力のある人は生活保護を受けられない」と説明しているのだとすれば大変です。反面、受給に期間制限がないことから、生活環境の変化についての申告をしないことにより不正に受給し続けたり、生活保護を受けていた自分の親が死亡したことを隠し続けて親の生活保護費を不正に受給し続けていたりした、という話もありますので、生活保護をすべきかどうかについては、慎重にならざるを得ない側面もあるのでしょう。

収入を偽って、不正受給をし、一軒家を購入したという話もありますから、本当に困っている方が受け取れるよう制度にしていきたいものですよね。

生活保護を正しい方法で受け取っている分には問題はありませんので、彼女が気持ちよく働けるように、今後も変わらず仲良くお付き合いしていってくださいね。

【参考リンク】
生活保護制度 | 厚生労働省

●ライター/刈谷龍太(弁護士:東京弁護士会所属)

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