メリットがわからない……女は結婚すると損ばかり?

【相談者:10代女性】
いつも疑問に思っていることがあります。今の時代って、テレビやネットを見ていても、女性は社会で働いて、結婚して、家事をこなして、子供を産んで、子育てしながら働け。みたいな風潮です。将来的には夫の親の介護も

昔の女性は、結婚したら家事や子育てに専念するかわりに、夫に養ってもらうギブアンドテイクが成り立っていたし、男性にも、女は守るものという価値観が主流でしたよね。でも現在は、男性同様バリバリと働くことが求められ、子供まで産めと。

結婚へのあこがれはありますが、苦労を考えると……。だからといって未婚でいるのも肩身が狭いし。女性って損ばかりですよね? 一体、結婚になんのメリットがあるのかわからなくなります。周りの女の子が必死で婚活している意味もよくわかりません。

qa_a 女はみんな、迷える子。迷いながら納得できる道を探すしかない。

こんにちは。だいぶイタイことをいってしまいました(笑)。カルチャー専門家のみわあやのです。

男女平等とはいえ、出産だけは女性にしかできないもの。夫婦で子育てをするといっても、夫の職場環境によっては難しい。かといって、夫の収入だけでは不安。現代の女性は、その立ち位置に悩む方がとても多いのでしょうね。

とはいえ、女性ばかりが損をしているわけでもなく、何かを得るために何かをあきらめる覚悟がいるのは、男性にとっても同じこと。目の前の現実と折り合いをつけながら、生きていかなくてはなりません。

文豪・夏目漱石は、昭和41年に発表した連載小説『三四郎』のなかに、男女の人生の葛藤をみずみずしく描いています。ちょっとのぞいてみましょうか。

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悩める女と、それに振り回される男たち

進学のために地方から上京してきた主人公“三四郎(さんしろう)”。田舎で育った彼は、都会の文化や人びとの考え方についていけなくて、しょんぼり。そんなとき、ある女性に出会います。彼女の名は、“里見 美禰子(みねこ)”。勝ち気で教養のある、都会的な女性です。

日本女性は夫に仕え、尊敬することが美徳とされていた時代。女性が自己主張するのさえ珍しいことでした。三四郎にとって、自由で大胆な美禰子の振る舞いは、どんなにか刺激的に映ったことでしょう。

美禰子という女性を象徴するのが、彼女がつぶやいた、「ストレイ・シープ(迷える子)」ということば。三四郎にはその意味がわかりませんでしたが、次第に美禰子の謎めいた部分に惹かれていきます。

美禰子は、たびたび三四郎に思わせぶりな態度をとります。でも、三四郎が思い切って(すごく遠回しに)想いを打ち明けても、つれない態度であしらうばかり。

結局、彼女は三四郎ではなく、家族の知人である「立派なひと」との結婚を選びます。時代は日露戦争後。当時の女性は、実家や夫に頼らなければ生きていくのが難しい時代でした。

社会で活躍したい気持ちもありながら、また一方では、結婚して夫に仕える「普通のしあわせ」を求め……。

自立し、自由に生きているように思われた彼女ですが、本当は矛盾のあいだで悩む「迷える子」だったのです。つかみどころのない態度は、彼女の葛藤がそうさせていたのかも。

三四郎は、彼女のすがたが描かれている肖像画の前で、「ストレイ・シープ、ストレイ・シープ」とつぶやきます。それが、美禰子のことを初めて理解した瞬間だったのかもしれません。

彼女のことをわからず、ただ翻弄された三四郎もまた、「迷える子」だったのでしょうか。


いつの時代も、女性はみんな悩んで迷って必死に生き、男性はそんな女性のすがたに、翻弄されたり、心を打たれたりしながら共に生きてきたのかも……。

良くも悪くも、ひとの生き方は、本人とその周囲の人びととの関わり方で変化していくものですよね。「世の中の風潮」にとらわれて絶望したり、怒ってみたりするよりも、自分にできる「役割」を探して、納得できる居場所をみつけていくのが、大人になるということなのかもしれませんね。

【参考文献】
・『三四郎』夏目漱石・著

【関連コラム】
いまいち結婚するメリットが感じられない時の考え方2ステップ

●ライター/みわあやの(カルチャー専門家)

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