太宰治『ヴィヨンの妻』に学ぶ、ダメ男と幸せになる方法

【相談者:30代女性】
いつも、ダメな男ばかり好きになってしまいます。女性にだらしなかったり、働かなかったり。私が付き合ってきた男性はそんなのばかりです。最初からダメ男を選ばなければいいことはわかっているのですが、どうしても普通の真面目なひとでは物足りないというか、好きになれないんです。今の彼氏もちょっとダメな部分が多いひとですが、嫌いになれません。

どうすれば、俗にいう「ダメンズ」に振り回されずにうまく付き合えますか?

qa_a ダメ男に振り回されないためには、「自立」することが大事。

こんにちは。カルチャー専門家のみわあやのです。

ちょっとダメな男性とつきあうことで、なんとか自分のアイデンティティを保っている。という女性は少なくないものです。自分の存在価値がよくわからないので、誰かに必要とされていないと不安で仕方がない……。彼を利用して自分の不安を解消している状態ですから、いなくなられると困るんです。

二人きりの狭い世界を飛び出し精神的な自立ができたときに、はじめてフェアな関係を作れるのかもしれません。

今回は、愛すべきダメ男(笑)、“太宰治”の短編『ヴィヨンの妻』、そのヒロインさっちゃんから、ダメ男とのつきあい方を学んでみましょう。

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「なぜ、はじめからこうしなかったのでしょうね。とっても私は幸福よ」

生活をきりつめ、必死の思いで家計をやりくりしながら、粗末な借家で夫の帰りをひたすら待っているばかりの「さっちゃん」。夫の大谷はメンタルが異常に弱く、いつも何かに傷つきおびえて、お酒ばかり飲んでいる詩人。このひとが相当なダメ男なのです。

ある日、さっちゃんは「椿屋」という飲み屋を経営する夫婦から、夫が店に多額のつけを残し、さらに店の金を持ち逃げしていたことを聞かされます。

彼女は、幼い子どもを抱えながらも椿屋で働き、夫の作った借金を返済する道を選びます。

働き者のさっちゃんは常連さんにも人気者となり、椿屋に欠かせない存在に。いつ帰るかもわからない夫を待つだけだった不幸な彼女は、外の世界に出ることで変わりました。そこでつぶやいたのが次のひとこと。

「なぜ、はじめからこうしなかったのでしょうね。とっても私は幸福よ」

ラストシーンで、大谷は自分が酷評を受けている新聞を読んでいます。そこに書かれていたのは、「人の道に外れたもの」という意味のことば。

盗んだ金は妻と子どもに贅沢な正月を迎えさせるためのものだった。人の道に外れていないから、そうしたのだ、と見えすいた嘘をつく大谷。

すでに、大谷という人間のすべてを見透かしている彼女は、騙されません。そんな、どこまでもダメな大谷に向けたさっちゃんのひとことで、物語は締めくくられます。

「人の道に外れてたっていいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」

覚悟を決めて自立した女性は、たとえパートナーがどんな男性であっても、それによって自分が不幸になるということはない。さっちゃんのことばは、そんな清々しささえ感じさせてくれます。

ダメ男に振り回されがちな女性には、ぜひ一度手にとって読んでいただきたい名作です。

【参考文献】
・『ヴィヨンの妻』太宰治・著 / 新潮文庫

●ライター/みわあやの(カルチャー専門家)

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